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「バカ」と発言するに至るまで

 相手へのからかいや侮辱の意味合いで、バカという言葉がよく使われる。しかし、人間は誰しも生きてきた時間に対応する何らかの経験をしている。その人間にはその人間なりの学習をしてきたわけであり、その人間を絶対的な意味合いにおいてバカと呼ぶことはできない。
 出来ることはただ、個々人が「バカの基準」を定め、自分なりの評価を下していくことだけである。たとえ世間一般的な意味合いにおいてある程度その基準が一致しているとしても、結局は多数派の決めた基準でしかあり得ない。もし多数派がバカであるならば、「バカの基準」自体が不適切なものとなってくるのである。
 そのため結局のところ、誰かがバカと発言した際に明確にわかることは、その発言者が自らの主観的な判断によって、あるいはそれに加えて多数派の決めた「バカの基準」を参考にした上で、バカと言いたくなる人間に対してそう発言したということだけである。