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サイバー犯罪について

匿名化・遠隔操作・WiFiタダ乗り

サイバー犯罪においては、Tor・VPN・Proxyを併用するなどして、犯人を特定しにくくするといったことが行われる。その上で例えば、他人のパソコンを遠隔操作し、それを踏み台として犯行が行われたりする。そのため、IPアドレスは決定的な証拠にはならない。自宅のパソコンから証拠とされるものが見つかったとしても、それがパソコンの持ち主によるものであるかはわからないからである。また、自分が契約している回線からではなく、他人のWiFiにタダ乗りした上で行われるという事例もある。そのため、どこの回線から行われたかというのもまた決定的な証拠にはならない。このように、サイバー犯罪においては、IPアドレスや回線といったものも決定的な証拠にはならないのである。

自宅に複数人いた場合の問題点

犯人の自宅を特定できたとしても、複数人がその自宅を出入りしていた場合には、犯人を特定することは出来ない。自宅にあるパソコンを誰が使用したのかはわからないからである。例えば、表面上は仲良くしているが、実は悪意を持っているという人が、他人の自宅に友人として招かれた際に、その家のパソコンを使用して犯行するといったことも起こり得る。あるいは、会社のパソコンから犯行されたという場合であっても、どの社員が操作したのかが明確にならない場合、犯人を特定することは出来ない。つまり、犯行が行われた場所を特定したとしても、誰が犯行したのかを特定する決定的な証拠にはならないということである。

本当に犯人を確実に特定できるのか

Tor・VPN・Proxyを併用し、更には他人のWiFiにタダ乗りしているという場合には、犯人を特定することはほぼ不可能と言っていいほど難しい。しかし、何かしら特定に繋がる情報を発信していたりすれば、そこから徐々に探られて、いずれは特定されることになるだろう。当然のことながら、警視庁にはそれ相応の捜査能力があるのだから、少しでも油断すればすぐに特定され、逮捕されることになるのではないだろうか。ただ問題なのは、先述したような事情から、本当にその人が犯人なのかという問題である。サイバー犯罪の場合、潜在的に冤罪の可能性が高くなっている。本当に犯人であるかわからない状態で家宅捜索をすることもあってはならないように思うが、たとえ家宅捜索が行われたとして、パソコンから何らかの証拠が見つかったとしても、先述したような事情から、それが遠隔操作などではなく本人によるものであるのかがわからなければ、結局は犯人を特定することはできないのである。

冤罪が起こる可能性が極めて高い

部屋に監視カメラがあれば、冤罪が起こる可能性は極めて低くなるだろう。ただ、それはプライバシー保護の観点から考えて、実現することはあり得ないし、望ましくもない。ただ、それが不可能である以上、今後も冤罪は起こり続けるのではないだろうか。本当にその時その場所でその人が犯行したという確実な証拠を得ることはできない。とすれば、曖昧な証拠によって容疑者を犯人に仕立てあげるしか方法はないということになる。日本では推定無罪の原則は実質的に機能しておらず、容疑者の段階でマスメディアに実名で報道され、もはや犯人であるかのように扱われてしまう。そして、結局は自白を強要され、有罪判決といったことに繋がっていくわけである。

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