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日本におけるハロウィン – ハロウィンの名目を利用した「コスプレ大会」

概要

日本におけるハロウィンは、アメリカのハロウィンでイメージキャラクターとして機能しているカボチャのジャック・オー・ランタンを取り入れるなどして、アメリカのハロウィンのような雰囲気を演出している。店ではハロウィンに関連した商品や食品が販売され、ハロウィンのためにレジャー施設は改装される。そして、多くの人々は、金儲けをしたい企業に乗せられて、何の疑いもなく、それらを消費する。彼らは企業に与えられたものを淡々と消費し、何となく楽しむだけである。これだけであれば、日本におけるハロウィンといった言い方をする必要すらないかもしれない。単に、アメリカのハロウィンの雰囲気を真似したものを、日本人が楽しんでいるというだけだからである。企業が金儲けをしていることもアメリカと同様である。しかし、企業が金儲けの手段として活用するものの中で、最近は特に、渋谷や池袋を中心として、「コスプレ大会」が若者を中心として流行してきている。さて、日本におけるハロウィンについて言えることは、この「コスプレ大会」についてを除けば、上述したとおりである。そのため、以下ではこの「コスプレ大会」について言及していく。

ハロウィンの名目を利用した「コスプレ大会」

目立ちたい、騒ぎたい人達の集会

「コスプレ大会」で行われることは、目立ちたい、騒ぎたい人達によって、ハロウィンに関係あるかないかに関係なく、好きなコスプレをするということである。ここに参加する理由というのは、以下で言及するコスプレイヤーと、仕事のために来た著名人を除けば、単に目立ちたい、騒ぎたいという以外には考えられない。そうでないならば、普段通りの生活をすればいいことだからである。それでは、何故多くの人が集まるのかと言えば、当然のことながら、普段から友人や恋人と様々なところへ行って騒ぎ、SNSに投稿したりしているような類の人達も多く集まるだろうが、それに加えて、いつもは面白みのない仕事をしているが、本当はもっと目立ちたい、騒ぎたいと思っている人達が大勢集まるからである。こうした人達は、普段は自己顕示欲を満たしたり、ストレス発散したりする場がないが、それらを解決する機会としてこの「コスプレ大会」を活用しているわけである。

アメリカのハロウィンとの滑稽な対比

アメリカのハロウィンにおいては、子供が仮装し、近所にお菓子を貰いに行くというのが恒例である。しかしこの「コスプレ大会」の場合、子供ではなく大人が仮装(コスプレ)して、近所の人もいるかもしれないが、基本的には遠出して、お菓子を貰いに行くのではなく、目立つために、あるいは騒ぐために、もっと言えば、子供のように騒ぐために行くわけである。勿論、アメリカでもハロウィンパーティを開く大人はいるし、大人がコスプレをしないというわけではない。しかし、全体を通してみれば、こうした違いがあるということが出来るだろう。

ハロウィンの本来の意味から考える

ハロウィンはかつて、古代ケルト人によって、秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う宗教的な意味合いのある行事として行われていたようである。しかし、これが起源であるかは明らかになっていない。そのため、それを起源であると仮定すれば、アメリカのハロウィンも同様であるが、本来の意味からかけ離れているとは言えそうである。しかし、そもそもハロウィンの本来の意味というのがよくわかっていないため、はっきりとしたことは何も言えない。せいぜい、「コスプレ大会」が起源なわけはないだろうという常識的な予想しか出来ないのである。

普段おとなしい人がなぜ参加するのか

コスプレ大会には、普段から騒いでいる人だけではなく、普段はおとなしく過ごしており、自己顕示欲を満たせなかったり、ストレス発散の機会を得られないでいる人が数多く参加している。それでは、彼らはなぜこの「コスプレ大会」に参加できるのかと言えば、それは周りの人と同じような行動を取ることによって空気を読みながらも、自己顕示欲を満たしたり、ストレスを発散したり出来るからである。周りの人が目立とうとしていたり、騒いでいたりするからこそ、自分も同じ行動を取ることが出来るというわけである。もし参加者が少ないとすれば、彼らはそこに参加する勇気はないはずである。

「コスプレ大会」に関連して行われること

コスプレイヤーによる金稼ぎ

知名度があるコスプレイヤーの中には、ハロウィンの時期にはメディアへの露出やイベントへの出演によって金稼ぎをする人がいる。ハロウィンにおいて「コスプレ大会」が流行しているため、普段からコスプレをしているコスプレイヤーもまた、企業からすると便利な存在になるわけである。しかも、彼らはそもそも目立ちたくてコスプレを始めた上に、普段から撮影会やロム(ROM)の販売で利益を上げているため、高額のギャラを要求してこないはずである。そのため、彼らはコストパフォーマンスの良い広告塔、ないしはアクセス稼ぎとして、ハロウィンの時期には頻繁に利用されることになる。

コスプレイヤーによる売名

知名度のないコスプレイヤーからしてみても、ハロウィンは売名に適している。なぜなら、ハロウィンの時期には、コスプレに多くの人の関心が寄せられており、多くの人に自分の顔や名前を知ってもらうには都合の良い機会だからである。いずれは知名度を得て、メディアやイベントに出演したいというコスプレイヤーが大勢、必死になって「コスプレ大会」に参加したり、その様子をSNSに投稿するなどして、アピールしているわけである。

「コスプレ大会」後の「ゴミ問題」

特に渋谷で行われる「コスプレ大会」については、ポイ捨てされたゴミの問題がよく言及される。これに関して、多くの人は「マナーが悪い」とか、「ボランティアの人は素晴らしい」といった意見しか言わない。ハロウィンの経済効果はバレンタインデーを越えるとも言われているが、それだけの経済効果がもたらされているのならば、渋谷区や東京都が民間企業に依頼して、ゴミ掃除をしてもらえばいいだけのことである。経済効果だけを恩恵として受け、ボランティアに頼ってコスト削減するというのでは、あまりに都合が良すぎる。払われたお金の一部を使って、ゴミを片付ければいいだけのことなのである。ただ、費用はゴミだけではなく、警備にもかかる。それらを踏まえた上で、経済効果がどの程度のものなのかを考えていく必要があるだろう。最終的にどの程度の経済効果があるのか自分にはわからない。もしかすると、ゴミ処理や警備の費用によって、経済効果が打ち消されているということもあるのかもしれない。ただ、ゴミの問題をマナー(厳密に言えばポイ捨ては軽犯罪であるはずなのだが)の問題として捉えることが全くもって馬鹿げていることは確かである。

「コスプレ大会」に紛れた痴漢の問題

人が多く集まれば、様々な問題が発生してくる。その中でも深刻なのは、痴漢の問題である。「コスプレ大会」には多くの女性が集まるため、それに合わせて、女性に触りたいだけの気味の悪い変態も多く集まる。普段であれば、犯人が誰かということはすぐに分かるはずなのだが、あまりに人が多く、犯人が逃げてしまえば全く分からないような状況になってしまっている。そのため、自分を守ってくれる人を連れて行くか、見ず知らずの男とは適度に距離を取るといった対策が必要になってくる。しかし現実問題として、混雑している状況においてこういった対策を取るのは不可能であるかもしれない。参加者には女性が多いだろうが、こうした状況で女性が参加するのはあまりに危険すぎるのである。

なぜ流行したか

この「コスプレ大会」が流行したきっかけは何であるかを特定するのは難しい。数年前まで、この「コスプレ大会」が流行っていたような印象はない。しかし、ここ最近になって、急激にこの「コスプレ大会」は金稼ぎに利用されるようになった。ここには、様々な要因があるだろうが、何よりもまず、コスプレの流行があるだろう。芸能人になるきっかけはないが、意地でも目立ちたいという人達の中には、コスプレイヤーという道を選ぶ人は少なくない。コスプレの注目度も急激に高まっており、そうした傾向はさらに強くなっている。そうした中で、目立つためのコスプレを気軽に出来るのが、ハロウィンという名目で行われる「コスプレ大会」なのである。ここには、コスプレイヤーになるのは恥ずかしいが、本当は目立ちたいという人も参加しやすい。そうした状況を見て、広告代理店が金になるからと言ってゴリ押ししたのかわからないが、マスメディアもこうした現象を取り上げて、大衆に参加を煽るわけである。そして、クールジャパンという名目で、アニメと結びつけたりなどして、コスプレを日本の独自な文化であるとして、権威のある人が主張したりもする。こういったことが重なって、ブームが出来上がったというよりも、作られたわけである。加えて、コスプレ自体も身近なものとなってきて、誰もが気軽に行うようになっている。コスプレという言葉も大きな括りで使われるようになってきており、アニメのキャラクターであろうが、ビジュアル系の格好であろうが、笑いを取るためのふざけた格好であろうが、全て「コスプレ」という括りで語られている。こうして、渋谷ではビジュアル系やら、ふざけた格好やら、何でもありの状況である一方、池袋ではアニメやゲームのキャラクターのコスプレをする人がいるといった違いはあるが、様々な人が、目立ちたい、騒ぎたいという「共通の目的」のために、この「コスプレ大会」を絶好の機会として利用するようになった、つまりは流行したということなのではないだろう。

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