過去の辛い経験を「忘れる」ことを推奨する人は少なくない。今は今であり、過去は過ぎ去ったことであるとして割り切った方が良いというのである。確かに、普通の人と同じように生きていきたいというだけであれば、それも悪くないかもしれない。
しかし、より良い選択肢もある。それは、あえて過去の辛い経験に向き合い、アートに「昇華」するという選択肢である。文章にするのでもいいし、絵として表現するのもいいだろう。ともかく、何らかの形にしていくわけである。
そうしたことが可能になれば、単なる辛い経験だったものが、立派な財産に変わってゆく。つまり、マイナスの経験であったものが、絶対値に変換されてプラスの経験になるというわけである。