容姿や技術などにおいて、「権威者・権力者に似ている」あるいは「権威者・権力者より上回っている」などと言って褒めようとする人がいるが、それは言われた本人にしてみれば不快でしかないのではないだろうか。とりわけ、本人がその通りであると意識した場合には尚更である。
もし権威者・権力者に似ている、あるいは彼らより上回っているのだとすれば、その「権威者・権力者」が持っている「権威・権力」を持っていないということは、それだけ不当な扱いを受けているということになる。つまり、本来はもっと評価されるべき存在であるにも関わらず、運悪く平凡な存在、あるいは蔑まれる存在になっているということである。
こうした事情を踏まえれば、素直に喜ぶことなどできないであろう。世間的評価や生活の状況と切り離してその存在の価値を褒めたところで、むしろ何故「権威・権力」を得られていないのかという疑問によって、精神的苦痛を受けることになってくるからである。